日の光を浴びたグラスタンは、
光に愛された都市と呼ばれるほどに美しかった。
だが、そんなグラスタンとは対照的に、
雲一つない晴天であっても、光の届かない街があった。
かつては帝国の始まりの地としての誇りがあったが、
すべてを失い、今では「貧民街」として人々から嫌悪される
光に愛されなかった街「ラシュエット」。
しかし、そんな自分の生まれ育った街を愛する子どももいた。
そして、グラスタンを照らす太陽や月、星々を眺めては、
いつかその光がラシュエットに届くようにと祈っていた。
そんなある日、大陸出身の剣士が街にやってきた。
よそ者を痛めつけてやろうと考えた輩が剣士に近づいたが、
わずか一瞬の剣技によって倒された。
その光景を、生涯忘れることはないだろう。
光を知らない子どもにとって、その剣技はとても美しく、
まるで空に浮かぶ星のように輝いて見えたのだ。
思わず剣士を追いかけて、声をかけると、
剣士もまた、その子に芽生えた“希望の光”を感じとり、
その子の思いに応えることにした。
剣士が街に滞在する間、少しずつ街に光がともり、
弟子となった子どもは喜びながら修練に打ち込んだ。
時が流れ、大陸出身の剣士は街を離れてしまったが、
街には、新たな剣士が誕生していた。
かつて街に光を求め、祈るだけだった子どもはもういない。
自ら輝きを放つ星となって、
世界に光を届けるために、剣を振るう。